元のスレッド
避難所でだらだらと文を書くスレ
- 1 名前:避暑地の名無しさん投稿日:2001/09/14(金) 04:39 ID:XN5KJDtI
- /|\ ((⌒ ⌒ ))
/ | \ ((⌒⌒)
/ /| | \ (( )) / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
/ / | | \ ∫ Λ_Λ< だらだらとね
 ̄──_|_─´ ̄∫ (´∀` ) \_____
、_|⊂ ⊂ )
三 = |__|( ( )
⌒ = = 从从 し し□
⌒⌒ =≡ ^^^^
- 2 名前:避暑地の名無しさん投稿日:2001/09/14(金) 05:25 ID:kQYDNtLg
- 靴下(だもん
- 3 名前:避暑地の名無しさん投稿日:2001/09/14(金) 05:35 ID:???
-
/|\
/ | \
/ /| | \
/ / | | \
 ̄──_|_─´ ̄
τ ⌒ヽ
三 = (-_-) ヒンシゴッコ・・・
⌒ = = U ν
⌒⌒ =≡=- -
- 4 名前:避暑地の名無しさん投稿日:2001/09/17(月) 00:57 ID:???
- うわ。名前入れ忘れてるし。…このままでいっか。
- 5 名前:避暑地の名無しさん投稿日:2001/09/17(月) 22:59 ID:???
- ↓一応前スレ。
http://corn.2ch.net/entrance/kako/991/991842967.html
↓暇職人によるサイト(感謝)
http://members.tripod.co.jp/nisemoti/x.html
- 6 名前:避暑地の名無しさん投稿日:2001/09/19(水) 01:47 ID:???
- 鯖が落ちた。
とは言っても本当に鯖が落ちた訳ではない。ここは山奥の深い森の中、目の前に鯖が落ちてくることは神の悪戯でもない限りありえないだろう。だいいち、悪戯にしては趣味が悪すぎる。札束でも落ちてくるのならば、そのセンスに口笛を吹きならがら外に駆け出すのだけれど。
djスレが雨後の筍のようにぽこぽこと立つ、今日の筍は大量だ。上に居る復帰屋さんが薄い頭を掻いて苦笑する姿が一瞬脳裏に浮かんだ。
少し小さめのオフィス程度の景観と広さを持つこの部屋には僕ともう一人の人間しか居ない。そしてもう一人の人間は僕の後ろに居る。
ゆっくりと降り返る。そこには思った通り、忍び笑いを漏らしながら細い体を小刻みに震わせる女の子が居た。
「……あのさ。鯖落とすなら言っておいてくれないかな。こっちは長文書いてたんだけど」
言うが早いか、彼女はこちらを向き、形の良い口元に浮かぶ笑みを崩さないまま僕に言い放つ。
「あら、ごめんなさい。そちらがそんなに忙しいとは思ってなくて。でも面白い天然が居たから仕方ないでしょう?」
「それでも、一声ぐらいかけてくれたっていいじゃないか。折角いい流れで議論が進んでたのに」
彼女はアーモンド形の大きな瞳を一瞬細くし、組んでいた足を組替える。
「煽り、馴れ合い、騙り、議論と一通り教えてやったのよ? 後はdjを教えてやるだけじゃない、自作自演
だけはどうしようもないけれどね。それとも文句でもあるの? 与えられた権利は使ってこそ、その意味を成すわ。
私達はプロなんだから、この板が盛り上がるためにはなんでもしなくちゃね。あなたもたまにはレス削除ぐらいしてみたらどう?」
彼女の瞳が挑戦的な色を帯びる。僕の反論を待っているのだ。だがその視線は耐え難く、僕は黙って自分のモニターへと向き直った。
「つまんないの」
背後からため息のような呟きが聞こえてきたが、僕は極力反応を抑え、メモ帳に書いたコピペ元の長文と今だ増えゆくdjスレを見つめていた。
僕達はプロだ、それは分かっている。この「日本一の総合掲示板」の裏で蠢く、プロだということは。
- 7 名前:避暑地の名無しさん投稿日:2001/09/19(水) 01:49 ID:???
- 僕達はみんなひろゆきに導かれてここにやって来た。例外は無い。みんな様々な方法で連れてこられたらしいが僕の場合はもっともスタンダードと思われる自宅への訪問という方法で連れてこられた。
最初にひろゆきと対面したときは「どこかで見た顔だ」ぐらいにしか思っていなかった。見覚えはあるのに思い出せない。そんな感じだ。不幸というべきかひろゆきにとっては僥倖というべきか、その時、家族はみんな出払っていてひろゆきの応対は一人新刊の漫画を楽しんでいた僕がすることになった。
「……どなたですか? 訪問なら間に合ってますよ。宗教なら元々要りません」
「あらら。。。 いままでのヒトはおいらを見てくれたら初対面でも分かってくれたんですがねぇ。。。
まあ、とりあえず正体は男だと言っておきましょうか。正体男、正体men、初対面。。。なんちて」
「まさか……、ひろゆき!?」
ひろゆきの顔は一度二度見た程度だが、下らな過ぎて逆に面白い、とまで言われる寒い洒落を飛ばす男は良く知っていた。それが目の前で繰り広げられた愚にもつかない洒落と結びつく。
この男は僕が漫画と並んで湯水のごとく時間を消費するネットでの常駐先、2ちゃんねるの管理人だ。
「やっと分かってくれましたか。それではお話に入りましょう」
「はぁ、じゃあここでもなんですし、こっちへどうぞ」
とりあえず居間へ通し、漫画のつまみに買っておいたうまい棒をお茶うけに出すとひろゆきは目に見えて喜んだ。
「おお〜! 点数アップですよ。むふふ。。。」
「……で、お話と言うのはいったい何の話なんですか?」
表面上冷静を繕ったものの、僕の頭の中は半ばヒッキーになっている僕にひろゆきが何を話に来たのかでぐるぐるとモナーとギコ猫がそれぞれのお決まりを連発しながら回っていた。
「それはですね。。。。。。」
- 8 名前:避暑地の名無しさん投稿日:2001/09/19(水) 01:51 ID:???
- そしてひろゆきは語り出した。2ちゃんねるには都市伝説とも呼べるような「プロ固定」と呼ばれる存在がある。いや、掲示板上の噂だから掲示板伝説か……。ともかく、1日の来訪者数が何十万とあると言われている掲示板の集まりである2ちゃんねるは、匿名を原則としてその地位を作り出した。にも関わらず、匿名の甘い誘いを跳ね除け、書き込みに自分を移すかのように名前欄に自分のネット上での擬似人格の名を打ち込み続ける人種が居る。それが固定HN、「固定」だ。
圧倒的な数を有する、匿名を良しとする人種、「名無しさん」から比べると固定は数少ない。当たり前だ。不完全ではあるといえ、匿名であることを許されているのだ。わざわざ仮面をつけた集群の前に自分の顔を晒し続けることを選ぶ馬鹿がどれだけ居る? 存在証明が欲しいやつばかりじゃない。
だが、しかし、そうであるが故に固定は人を惹きつける。
煌びやかにはためく旗のように、固定の元に人は集まる。それを匿名掲示板の在り方に反すると否定する者もいる。だけれど、現実に固定は人を呼ぶのだ。2ちゃんねるの外からも、ROMをする内からも。それが何十万のすべてでは無いと言え、その集客能力はとうてい無視できるものでは無い。
そんな背景を元にして生まれた掲示板伝説が「プロ固定」だ。掲示板を利用させてもらっている客として書き込みをするのでは無い、職として、仕事として、書き込みをする固定。その就職先は2ちゃんねる管理人、ひろゆきの経営する株式会社東京アクセスだと言われている。要するに、ひろゆきは自分の掲示板を盛り上げるためにサクラを雇っている、と言う話だ。
「。。。まあ、知っているのなら二度手間ですが、確認の意味も込めましてね、誘いをさせて頂いた方には必ず話すようにしているんですよ」
「聞いたことはあります、でもただのネタだと……」
「ネタじゃないんですよ、その『プロ固定』の噂は退職した方が流したものなんです。堅く口止めしていたはずなんですけどねぇ。。。おいらとしてもフォローはしてます。他の社員にネタらしく見えるようにレスをさせるとか、逆にプロ固定をネタにしたスレを立ててもらったりとか。ほら、歯を隠すなら森総理って言うでしょう?」
またもや飛び出した洒落に掲示板上と変わらない脱力感を覚え、閉口したが、僕はひろゆきのたらこ唇から目が離せなくなっていた自分に気付いていた。
そのひろゆきはこちらを見てちょっとがっかりした表情を作っている。
「やっぱり、さっきのは無理ありましたかねぇ。。。森総理ももう時期はずれですしねぇ。。。」
本題と明らかに離れた話題に僕は慌てて口を挟んだ。失言ばかりの冴えない爺さんはどうでもいいのだ。
- 9 名前:避暑地の名無しさん投稿日:2001/09/19(水) 01:52 ID:???
- 「じゃあ話と言うのは僕にプロ固定をやれってことなんですか?」
僕の胸はこの時、高鳴っていたと思う。少しの戸惑いは舞台の裏側、しかも座長自らそれを見せてくれたことに吹き飛んでいた。
「いやいや、話はまだ終わってないんですよ。あなたのIPアドレスを調べてもらったところ。。。あ、驚きましたか? IPは取ってないというのが2chの基本ですもんね。それは半分正解で半分建前です。面白い書き込みをする人だけはIPを見れる削除人さんにIPを記憶しておいて貰ってるんですよ流石に全部の書き込み分を保存しておいたらサーバがパンクしてしまいますからね。それで話は戻りますが、あなたは名無しさんでしか書き込みをしていませんね?」
正解だ。僕は2ちゃんねるのどの掲示板においても固定を用いて書き込みをしたことはない。捨てハンさえ使ってはいない。
「そうですけど、固定やれと言うのならやりますよ。……できればやりたくはないですけど」
「それで良いんです。あなたには『プロ名無し』になってもらいますです」
「プロ名無し?」
「簡単に言えばプロ固定の名無し版です。プロ固定の存在を森の中の木を増やすことだとするなら、プロ名無しは葉を増やすんです。あなたが通常の名無しさん以上のペースで書き込みをし、見かけ上人を多くするんです。人が居るところに人は集まりますからね」
「本当に名無しでいいんですか? 僕としてもそっちのがやりやすいですけど」
「だから良いって言ってるじゃないですか。。。あなたの書き込みは名無しさんで生きます。長所をわざわざスポイルするような真似はしませんですよ。それとも、やりたくないんですか? おいらとしてはこのことを口外しないのなら辞退してもらってもまったく構わないんですが。。。」
この時は素直に慌てた。折角の棚から落ちたぼたもちを逃さまいと必死だった。
「や、やります! いえ、やらせてください!」
ひろゆきは藁った。あの顔文字の通りに。
「では、決まりですね。あなたを推薦した削除人はあなたの知識量と観察眼、論の立ちを買って推薦しました。自作自演や騙り、煽りはやらないようですが。。。それも良いでしょう。マターリとした雰囲気も必要です」
「知識量って……、じゃあ僕の行くところって」
「そうです、漫画系列の板です。期待してますですよ」
そして、僕はどこともしれぬ山奥の中に立つビルの5階の部屋の中で、今もキーを叩いている。
- 10 名前:避暑地の名無しさん投稿日:2001/09/19(水) 01:58 ID:???
- ◇◆◇
缶を傾けると冷たく甘ったるい液体が炭酸の軽い刺激と共に喉を滑り落ち、ほどほどに疲れた身体に行き渡る。ふと上を見るとこのフロアの片隅にある休憩室の天井に備え付けられた明かりが、薄明るくなり始めた窓の外の闇を追い出すかのように煌々と輝いており、モニタ疲れした目に染みた。
「はぁ……」
思わずため息が出る。もし、あの時、ひろゆきについて行くことを選択しなければ僕はどうなっていたのだろう。多分、自分で就職を決めることも出来ず、家で引き篭もりのようにだらけていた僕は、父親の良く見知った諦めの表情から出てくる「俺の会社に来ればいいだろう」の繰り返された言葉に根負けして、普通のサラリーマンになっていただろう。朝に起き、残業を片付けながらも接待をこなし、深夜には疲れて寝床へ倒れこむような普通の生活を。
今の状況に不満がある訳じゃない。家でやっていたことと内容は変わらないといえ、初めて自力で勝ち取った仕事だ。不満があると言えば嘘になる。親も名の知れていない会社ということでかすかな不満を持ったようだが、ようやく一人立ち出来た息子を祝福してくれた。「接待のやり方を教えてやろうか?」なんて父親は普段聞かないような冗談まで聞かせてくれた。
だけど、僕の口からはため息がこぼれ落ちた。
「それは当てつけなのかしら?」
驚いた。小さく痙攣してしまったが気付かれなかったろうか。
「ち、違うよ」
「そうよねぇ、私達固定と違って名無しだとレス集めるのに苦労するものね、機会を潰しちゃってごめんなさいね」
「だから違うってば……」
- 11 名前:避暑地の名無しさん投稿日:2001/09/19(水) 02:05 ID:???
- 誤解をされている。スレは飛んでしまったが、あの後復旧した板で僕は議論を続けることができた。流石に飛ぶ前の勢いは無かったが、それでも十分満足できるスレ内容とレス数はあった。
「だったらなんなのよ、訳も無しにため息付く訳? 『鬱だ氏のう』状態にでもなったのかしら?」
彼女の作りの良い、だが幼さの残る顔が悪戯を思いついた子供のように変化する。からかわれている。それは分かったが分かったからと言ってどうしようもできるものでもない。
「ただ、ここに来た時のこと思い出して、ここに来なかったらどうなってたんだろうなぁって考えてただけだよ」
「ハァ? あんたそんなこと考えてたんだ、バッカじゃないの。そんな終わったことグダグダと……。昔のことばかり考えてる奴はアホよ。同じ意味で先のことばかり考えてる奴もアホね。ここにある現実は今、この瞬間にしか無いわ。過去や未来なんて人間の意識の上にしかありえないものよ。なら、どうするべき? 決まってるわ、今を楽しむしかないじゃない。そしてあそこには」
呆れたとばかりに言葉を放つ彼女は一旦話を切り、腰に当てていた腕の親指で僕たちの仕事場を指差す。
「持て余した今を持ち込む連中がたくさん居る。金を貰えてそいつらを弄べるのよ? こんな美味しい話そうそうあるもんじゃないわ。あんたも選ばれたんなら、もっと楽しんでみたらどう?」
そこまで言うと、彼女は一息ついて自販機へと近寄り、コーヒーを買った。
「ま、あんたには一生できそうもないけどね」
プルトップを空けながら彼女は続け、話を締めた。
- 12 名前:避暑地の名無しさん投稿日:2001/09/19(水) 02:09 ID:???
- 「にしても、ここの自販機はなんでカネボウなんてマイナーなのしかないんだろ。コーラを飲ませなさいっての! コカ・コーラを!」
「あ、えっと、それはB級グルメ板の宣伝の代金らしいよ。ちょうど自販機の設置を考えてたからってひろゆきが」
「ったく! ひろゆきもろくなことしないわね、下らない洒落考えてる暇あったらもっと待遇良くしなさいっての」
悪態をつきながら、彼女は行ってしまった。彼女の肩で揃えられた後ろ髪が揺れ、遠ざかる。
確かに、彼女に比べれば僕はこの生活を楽しんでいないだろう。僕はプロ名無しで彼女はプロ固定だ。良いにしろ悪いにしろ注目を浴び、芸能人のように噂話が繰り広げられる固定だ。その上彼女は僕も住む漫画系列の板で恐らくナンバー1に知名度の高い固定『まりあ』。知識量では僕に分があるものの、その論舌、スレの流れを把握、操作しキャラを維持する能力は彼女の副常駐先である雑談板のプロからも一目置かれており、女性固定という特権もその名を広めるのに一役買っている。
そして僕は名無しだ。誰とも分からぬ書き込みを続け、捨てハンも使わない、スレ番号さえも入れない個人の特定など叶うこと無い、プロの特権として与えられているレス削除、スレ削除、板飛ばし、諸々の特権さえ使わない、脱ぎ捨てた服と日に焼けた漫画本の中で書き込みをしていたころと何一つとして違ってはいない名無しだ。
そもそも、比べること自体が間違っている。楽しみ方の質が違うのだから。固定には固定の、名無しには名無しの楽しみ方があるのだ。立場が異なる以上、それは当たり前のことだ。
なら、なぜ僕はこの場所に、親に置いていかれた子供のように立ち尽くしているのだろう。
手の中の缶はいつのまにか、温くなっていた。。
- 13 名前:避暑地の名無しさん投稿日:2001/09/19(水) 02:15 ID:???
- ◇◆◇
繰り返される日々、多少の変化はあっても僕のやることはこの部屋で今にも溢れそうなコップに水を継ぎ足すことだけだ。いや、もしかするとすでに溢れているのに気付かず、こぼれ出した水に溺れながらもコップに水を足すことをやめられないだけなのかもしれない。
なににしろ僕は止められない、僕にはもう枷が嵌められてしまった。多分、僕はコップが割れるまで水を流し込み続けるのだろう。そして、コップが割れ、枷が無くなったとしても、僕はまた代わりの容器を見つけ水を注ぐに違いない。
「ねぇ、あんた」
背中からメゾ・ソプラノの声が響く。僕はキーを叩く手を止め、振り向いた。
「え? なに?」
このビルに連れてこられた大半の人間はお互いの本名を知らない。匿名掲示板という場に慣れた彼らは名を問うこともまずしない。なにかと決まりごとの多い現実社会と違い、この半ばネット上の社会を具現化した場所では本名など知らなくとも円滑に物事が進むのだ。
だから、自己顕示欲を抑えきれず本名を晒した固定を例外として、プロ固定は概ねHNで呼び合っている。端から見れば痛いオフ会の様相を呈しそうな状況ではあるが、ここはある意味、現実に浮かび上がる2ちゃんねるそのものだ。居るもの全てがそれを分かっているため、よっぽど滑稽なHNでも無い限り違和感を覚える者は少ない。
そしてプロ名無しである僕は主に「あんた」「おまえ」と倦怠期をとうに通り越した夫婦のごとく二人称で呼ばれている。他のプロ名無しには萎え氏、奈々美、などと名無しをもじった愛称で呼ばれている者も居る様だが、酷い時には根暗クン、あまつさえ自意識肥大化ヒッキーと僕を呼ばわることもある『まりあ』にそれを期待するのは筋違いと言うものだ。
そう考えると、今回の呼ばれ方は比較的マシな方だ。……そう考える自分が何か間違ってるような気がしたりはするが。
「これ見てみなさいよ」
そう言うと彼女は自らを乗せた椅子をずらして僕にモニタを見やすくし、視線でこっちに来るように示した。何があったのだろうと思いながらモニタを覗きこむ。
- 14 名前:避暑地の名無しさん投稿日:2001/09/19(水) 02:16 ID:???
- 「……警察のIPだね」
僕達にはIPを見る権限が与えられている。IPを見れればどのスレに誰が張りついているかなどが分かり、便利なのだそうだ。もちろん自作自演を見抜くのにも使えるが、モロに指摘するバカな真似はしない。僕達の給与は稼いだレス数に左右されるため、さっさと指摘して吠える犬を黙らせるよりは、思う存分遠吠えでも何でもさせてレスを集める方が効率の良いやり方に決まってる。とは、彼女の談。まぁ、その後彼女は「力入りまくった奴の自演をいきなり指摘すると黙る様が面白い」とも言っていたが。
僕はその時、あまり的を得た指摘をするとプロ、までは行かなくとも削除人の疑いをかけられそうだと思っていたが……。きっと彼女のことだからうまくやっているのだろう。立ち回りの良さは板上で良く知っている。
「それでこのIPがどうかしたの?」
「どうかしたのって……。気付いてなかったの? ああ、そういやあんたIPも見なかったんだったね。まったく、徹底してるわ」
「ご、ごめん」
「あーもー、なんでそこで謝るのよっ」
反射的に謝ってしまっていた。自分でも嫌だがどうしても強気に出れない性格なのだ。
「まったく……、あんたの根暗はどうでもいいから、これ見て」
モニタにグラフが呼び出される。RGBで刻まれた赤い線は先先月から始まっており、先月の終わりまで平凡な波形を描いていたが、今月に入った線は緩やかにであるが上昇を続け、その線が途切れるころには先月の数値のおよそ2倍を示していた。
「私が行ってる板のを集めたものよ。ほとんどがROMだったけど、この数は笑って済ますにはちょっと多いわね」
「……警告かな?」
- 15 名前:避暑地の名無しさん投稿日:2001/09/19(水) 02:17 ID:???
- 2ちゃんねるには有名と言えばあまりにも有名な犯罪者、ネオ麦茶が居た。精神を病み、その支えを2ちゃんねるに求め、そして2ちゃんねると共に壊れることを望み実行した哀れな犯罪者が。それ以来、何か大きな犯罪があり、その容疑者にネットの臭いが少しでもすればあらゆる場所でまたあそこから第2、第3のネオ麦茶か、と話題に飢えた善良な市民達の無責任な噂が回線を駆け回るようになった。
無理も無い。
2ちゃんねるではどんな危険な思想も、犯罪予告さえもほぼ垂れ流しだ。きちんと管理された他の総合掲示板と比べ、潜在的な犯罪者の数を邪推されるのも仕方の無いことだろう。いくら警察の活動がネットでは鈍いと言え、もう無視を続けていることは出来なくなったのかもしれない。
「ありえる話ね」
僕の言葉を確認すると彼女はグラフを閉じ、再びモニタに板の状況を映し出す。
「たらこも間抜けの皮被った狼みたいな奴だから、なにも手を打たないってことはなさそうだけど、私達も一応なにか考えておいた方がいいかもね」
「そうだね、僕も保険かけておいてみるよ」
モニタを覗きこんでいた上体を起こし、言う。すると彼女は苦笑いを浮かべた。
「そういうコトは黙ってやるのがセオリーでしょうに。まあ、らしいって言えばらしいけどさ」
「別にいいじゃないか」
微かな反発を覚える。僕はそんなに分かり易いのだろうか。
「はいはい」
彼女はこれで話は打ち切りだとでも言うように手をひらひらと振る。モニタに向き直った彼女の背に、開きかけた僕の口は閉ざざるをえず、胸の中で軽くため息をついて踵を返した。
- 16 名前:避暑地の名無しさん投稿日:2001/09/19(水) 02:20 ID:???
- ◇◆◇
歩く、歩く。そこそこに磨き上げられた廊下を、ゴム樹脂の靴底から発生する摩擦係数を感じ取りながら蹴る。踏み出した足は狙いを違うことなく降ろされ、僕の大して多くも無い体重を受け止め、蹴り足と入れ替わる。
目指す場所はそう遠くは無い。地下にあるレストラン、それが僕の目的地だ。
エレベーターは使わない。このビルの中で生活する上で運動不足は避け得ないことだ。そんな理由もあってささやかな抵抗だが、僕は移動の全てを徒歩で行うことにしている。
ただし、実はこんな方法を取らなくともこのビルには簡素だがジムがある。外には大して広くも無い運動場もある。じゃあ何故そこへ行かないのかと問われれば、苦手だから、と僕は答えるしか無い。体力に不安がある訳ではないのだけど、性格的にスポーツで爽やかな汗を流す、というタイプではないのだ。
今までも運動系の部活には縁がなかったし、体育は見学の常連だった。けど、身体を動かすことは嫌いじゃない、激しく活動して自分の肉体がコントロール出来なくなるのが嫌なだけだ。
だから、僕は一歩ずつ感触を確かめながら足を踏み出し、そしてその結果に満足する。
踏み出す、踏み込む。
踏み出す、踏み込む。
踏み出す、踏み
重力が消えた。
軽い浮遊感を感じ、天井が視界に入ってくる。直後、衝撃。肺に空気が入ってこない、息が詰まる。その上痛みがじんわりと追い討ちをかけてくる。
数秒間悶えた後、戸惑いと同じだけの怒りを持って床に寝たまま周りを睨む。
あった。僕の足元をすくった原因は僕の質量を受け取り、ころころと転がっていた。軽く咳をしつつ起き上がり、拾ってみるとそれは小さな、手の平に収まる程度の子瓶だった。確かこれはアンプルとかいう注射の時に使う瓶だったような気がする。
アンプルは半ばから折られ、中身は空っぽであり、張られているラベルは今まで僕の読んだことも無い文字で綴られていた。
何故こんなところにこんなものが転がっていたのかは理解に苦しむが、僕が理解しようとしまいとこの瓶が僕を盛大に転ばせたのは事実だ。苛立ちに任せて瓶を床に叩きつけようとしたが、止める。意味が無い。床をただ無駄に汚すだけだ。
それでも拾ってしまったそれをまた床に置く気もせず、僕は瓶をポケットの中にしまった。
そこまでして僕はようやく廊下を見回した。今まで考えなかったが、今時コントでも見られないような定番のズッコケをやらかしてしまったのだ。これで誰かに見られていたら救いようが無い。ましてや、まりあに見られていたら……。
どうやら僕の心配は杞憂に終わったようだ。
辺りに人の気配は無く、誰かが居た形跡も来る様子も無い。
安堵を覚えつつも、痛む背中に憂鬱を感じるという微妙に複雑な心境の中、僕はなるべく何事もなかったように装い、また一歩を踏み出した。
きちんと足元を確認しつつ。
- 17 名前:避暑地の名無しさん投稿日:2001/09/24(月) 06:56 ID:???
-
- 18 名前:真っ赤な名無しさん投稿日:2001/09/26(水) 08:30 ID:???
-
- 19 名前:真っ赤な名無しさん投稿日:2001/10/04(木) 03:00 ID:???
-
- 20 名前:真っ赤な名無しさん投稿日:2001/10/11(木) 21:54 ID:???
- 続きを書こうと決めてからそろそろ一月…。ヤベ。
- 21 名前:真っ赤な名無しさん投稿日:2001/10/22(月) 18:44 ID:???
-
- 22 名前:m´^!^)っ{ おお! 投稿日:2001/11/10(土) 20:51 ID:???
- >17-18でデフォルト名無しさんが変わっている。
なんだこの自分でも失笑してしまう駄レスは・・・。折角だから書き込む押す。
- 23 名前:真っ赤な名無しさん投稿日:2001/11/15(木) 04:40 ID:???
- ◇◆◇
「ギョリ」
冷め始めた鉄板とナイフが擦れて嫌な音が出る。肉を切るのに力を入れすぎた。流石にこの山奥のビルでは歯で切れるような高級な肉は望めない。多少気を付けながら肉を食べ易い大きさに切り分ける作業を続ける。
周りには誰も居ない。飯時には数多くのプロ達で賑わうこのレストランも、早朝を少し回ったこの時間では閑古鳥が鳴きっぱなしだ。あまり喧騒を好まない僕にとっては落着ける状況ではあるはずだが、一人ぼっちというのは少々居心地が悪かった。もうしばらくすれば朝の食事を採る人も来るはずなのだが。
黙々と肉を口に運んでいると、入り口の自動ドアが軽快な音を立てて開いた。そのドアを開いた人物は、店内を見まわすと僕を見つけ、テーブルの向い側に座った。
「朝から重いもん食べてるわね、うぇ。見てると吐きそうだわ。あ、こっちコーヒー1つ」
まりあだ。
「……今日はなんだかお腹へったんだよ。君こそコーヒーだけなんて体に悪いよ?」
「いーのよ。私、バクバク食べてブクブク太りたくないもん」
「あ、ダイエットしてるんだ」
「そ、だから余計な心配しないこと。あんただって油断してると体重計の針にビビらされることになるわよ」
「僕は大丈夫だよ。……たぶん」
僕は典型的な中肉中背で、特に過食症の気は無いし、ジャンクフードを食い漁ったりもしない。たまに体重が増えることもあるが、大体は不摂生による賜物だ。多少気を使えば、太ることはない、……はず。それよりも不思議なのは、傍目からは黄金率とまでは言えなくとも、同世代の高校生と比べればそれなりに均整を保った肢体を持つまりあが、どこの肉を落とすつもりなのかということだ。
高校に通っていたころも、同じような状況で同じようなセリフを言っていた女子が居た。やはり男の視点と女の視点は違うものなんだろう。
- 24 名前:真っ赤な名無しさん投稿日:2001/11/15(木) 04:41 ID:???
- 「そういえば、ずいぶん早い時間に上がったんだね。なんかラウンジにスレ立ててなかったっけ?」
「ああ、それ? 厨房が混ざりこんで、まともな話できなくなったから今日は終わり。ほら、最近名前売ってるバカが居たじゃない?」
「薬違法板から来た人だっけ? 電波が売りの」
「そーそー。その電波のおかげで見事にスレ潰されたわ。まだあのスレで吠えてるんじゃないかな」
「あはは……」
「ま、もうそろそろ切り上げ時だったから気にしてないけどね」
そう言うまりあの口元には僅かな笑みが浮かんでいる。だが、半年程度の付き合いとはいえ、まりあの相手をしていた僕は、彼女の内心が心地良いものでは無いことを知っている。元々強気な性格の彼女は本心をあまり見せたがらないのだ。
「そうだ、薬と言えばさ」
「ん? 何?」
「さっきこんなもの拾ったんだけど」
僕はポケットからアンプルを取り出し、テーブルの上に置く。
「何それ。どこで拾ったの?」
「3階の東通路。これ、なんの薬だろうね?」
「ちょっと見せて」
概ね食事の済んだ食器類をテーブルの端にのけ、アンプルを手渡す。
「んん〜〜。……読めないわ。ドイツ語っぽい感じはするけど……」
「そっか、医務室の人が落としたのかな」
「どうせブドウ糖とかじゃないの? 気にしなくてもいいでしょ」
彼女はそう言うと、手にとって眺めていたアンプルをテーブルのこっち側に乗せる。
「あの中国人も管理なってないわね。踏んづけたりして割れたら危ないじゃないの」
「そ、そうだね」
僕が彼女の言通り踏んだ上に割る事無くすっ転んだことは胸に止めておくことにする。
苦笑いを浮かべながらアンプルをポケットに戻す。するとタイミングを図ったかのようにウエイターが横に居た。
「コーヒーになります。お砂糖とミルクはお使いになりますか?」
「いいです。ブラックで」
「あ、僕は使います」
「かしこまりました。……こちらお下げしますね」
ウエイターが僕が先ほど脇へ片付けた食器類を手の平で指し、貼りついた笑顔で言う。
「では失礼します」
目の前に置かれたシュガーポットから角砂糖を一つつまみ、湯気の立つコーヒーカップへと落とすと、黒色の小さな水柱が上がる。次にミルクを流し込むと黒い水面は白と黒の綺麗なマーブル模様を描いた。一時も同じ形を描かないマーブル模様、それを見ているとなんだか落ちついた。人は流れるものを見つめていると安心感を覚えるらしい。これもそれと似たようなものなんだろう。
そうやって僕が混ぜることもせず、黒と白が揺れ動く水面を見ていると、まりあがコーヒーに口を付けたまま呟いた。
「……およそ40キロカロリー」
僕は顔を上げ、少し呆れた表情で彼女を見る。彼女は、薄く笑っていた。
- 25 名前:自信作だが反応の無かったやつ }c(^!^)っ投稿日:2001/11/25(日) 00:45 ID:???
- ヒッソリト貼りつけ
Λ_Λ
( ゚ー゚)
@_ )
Λ_Λ
( ゚-゚)
( _)
Λ_Λ
(・。・)
( _)
Λ_Λ
(‐。‐)
( _)
/Λ 〃
f。ー )
て_)
Λ_Λ
( ゚ー゚)
@_ )
新着なし
- 26 名前:自信作だが反応の無かったやつ }c(^!^)っ投稿日:2001/11/25(日) 00:52 ID:???
- ,〃,~,^、、、
((,/ノ'‐, 、;ヽ。))゚ 。 。
rヽン、ヾ ´ ゚ 。 { 使っておいて言うのもなんですが、
(人ノト、゚ 。 { >>1の書き込んだ文、長すぎて1つも読んでなかったりする。
∧V人 V^つ { と、書き込んでみても、1がブラウザだともう来れないだろうな。
し'へ> \_/。
- 27 名前:流石に自信作は恥ずかしいね }c(^!^)っ投稿日:2001/11/25(日) 00:53 ID:???
-
- 28 名前:あ、 }c(゚ !゚)っ投稿日:2001/11/25(日) 00:55 ID:???
- ごめん、ヒッソリト駄文スレと間違ってた。
ま、いっか。
- 29 名前:真っ赤な名無しさん投稿日:2001/11/26(月) 02:41 ID:???
- ま、いいよ。
- 30 名前:c(゚ !゚)っ投稿日:2001/11/26(月) 13:30 ID:???
- Λ_Λ
( ゚ー゚)
@_ )
Λ_Λ
(・。・)
( _)
/Λ y
f。ー )
て_)
Λ_Λ
( ゚ー゚)
@_ )
1のレスを受信
- 31 名前:なんだ・・・ }c(^!^)っ投稿日:2001/11/30(金) 19:24 ID:???
- ここの1は餅だったのか・・・
妄想のスレにだっけか・・・。まあ餅だからって訳でもないが、
時々長文に餓えることがあるので、その時にでも読もうかと思っていたところ・・・。
今はその時ではない。
ところでこのスレはageんでもいいんかな?避難所のdat逝き事情がよく解らんけど。
- 32 名前:真っ赤な名無しさん投稿日:2001/12/02(日) 21:58 ID:NATctom.
- 保存サイト見てみりゃ分かるけど餅じゃ無いよ。
もはや意地だけで続けてるんで、時間かかろうとも完結させるつもり。
まぁ、気が向いたら読んでみて。
つか、完結させたら本家の餅スレに紹介しようと思ってたんだけど
今餅スレって行方不明なんだねぇ。どうしたもんやら。
で、一応ageてみる。
- 33 名前:真っ赤な名無しさん投稿日:2001/12/02(日) 22:00 ID:???
- 早く沈まないかな…。
- 34 名前:真っ赤な名無しさん投稿日:2001/12/02(日) 22:28 ID:???
- まだトップだ…。
- 35 名前:なるほど・・・ }c(^!^)っ投稿日:2001/12/03(月) 07:37 ID:???
- 途中で飽きて途中で引き継いだってことかな。
多少流し読みしただけでよく解らないので主語抜き。
一応、いま上から5番目。
- 36 名前:s@kurai投稿日:2001/12/20(木) 22:23 ID:???
- 続き激しくキ・・
- 37 名前:真冬の名無しさん投稿日:2001/12/22(土) 22:48 ID:???
- …ダタロウ。
年内にはどうにかする予定です。
ただし予定は未(以下略
- 38 名前:真冬の名無しさん投稿日:2002/02/07(木) 08:04 ID:???
- ◇◆◇
「……だからさ、あれはソースが無いじゃないか。それにスレの前半と後半で事実関係に矛盾がある」
僕が指摘を入れると彼女はテーブルの端に手を伸ばし、真顔で陶器の瓶をこちらへ押し出した。
「はい、ソース」
……もう紫だとでも言ってみようか。
「確かにそうね、けどあの固定のキャラから見てもマジネタだと思うんだけどなー」
その言葉に反論を思いつき、口を開こうとした時、レストランの入り口が独特の音を立てて開く。
「いらっしゃいませ」
開かれたドアからは、数人の男女が入ってきた。彼等はウエイターに軽く手を振って挨拶すると、彼等が陣取る座席を物色し始めた。多分彼等は今起きた朝組の人達だろう。表情に疲れが無い。
「あ、もうそんな時間か」
「みたいね。さー、帰って寝るかー」
まりあが両手を組み合わせ、気持ち良さそうに伸びをしながら言う。それから伝票を持って僕らは席を立ち、入り口脇のレジへ向かうと、彼等が僕らに気付いた。
「おはようございますー」
まりあが僕と喋っている時より半トーン高い声で挨拶をする。
「お、まりあちゃんか。おはよう」
「昨日のスレ見ましたよ、頑張ってましたねー」
「ああ、食い付きの良い奴が居たからな。おかげでROMも巻き込めた。まあ、いつもと同じ粘着かもしれないが、固定客をむげにする訳にもいかないからね」
「串追ってみたらどうです? 思うんですけど、あの文の癖だと多分同じ奴ですよ」
「そうかもしれないな。雑談にも支障が出るようだったら考えてみるよ」
彼等の中の一人とまりあは知り合いらしい。ラウンジのような雑談板でも精力的に活動する彼女なら不思議では無い。対して僕と言えば、彼等の顔に多少見覚えがあるものの固定名やどんなジャンルの板に居るのかさえも分からない。別に知らなくとも仕事に問題はないが、こういう時に名無しと固定の違いを思い知らされる。あっちが注意でもしないと名無しの僕は特定出来ないだろうから。
「仕事明けなのかい?」
「ええ、これから寝るところですよ」
「じゃあ、おやすみ。今度スレ見つけたら、レス付けとくよ」
「ありがとうございます」
礼を言ってまりあが頭をぺこりと下げる。それを機に彼等は奥の座席へ行った。
「ラウンジの人?」
「そうよ。カニバリズムさんっていうの。一言で言えば煽り系の人かな」
「そうなんだ」
「分かったらとっとと支払い済ませる。伝票あんたが持ってるんだから」
「あ、うん」
レジへと向き直り伝票を置く。そこには先ほどのウエイターが立っていた。
「お支払いは現金ですか?」
「いえ、口座でお願いします。名無しの7番です」
「私はまりあです」
このビルに住むプロ達は、それぞれ2ちゃんねる管理の専用の口座を持っている。何しろここは世間と隔絶されているので普通の銀行を利用することが出来ない。その代わりという訳だ。
当然、"仕事"の報酬もここに入る。僕の場合はプロ名無し用の7番口座だ。
「ありがとうございました。またのお越しを」
事務的なその声を背に受けて、僕らはレストランを後にした。
- 39 名前:桜咲く名無しさん投稿日:2002/05/06(月) 23:45 ID:???
- ........★
★★← ★★−−−−★★★−−−−★★ →★★★
戻る